こんにちは。Libraのハヤシです。
今日は具体的な過去問演習のやり方について書こうと思います。またしても長文です。
まず、本題に入る前に「過去問を解く意義とはなんぞや?」という話から入りましょう。
そもそも私立大学文系は各大学・学部毎に出題形式が大きく異なり、過去問演習をうまく行えるかどうかは合否に直接影響します。適当に解いて適当に答え合わせをして、一喜一憂して終わり….では意味がありません。過去問演習は逆転合格への最も重要なプロセスなのは確かです。しかしながら、家庭教師や塾・予備校で対策するのが難しい領域でもあります。その理由としては、私立大学個別試験は学部レベルで問題傾向が大きく異なっており、そのひとつひとつに多くの時間を割けないこと、そしてもうひとつ決定的なのが、あくまで自分自身で考えて成長しなければ効果が期待しにくいことが挙げられます。(これは過去問演習に限った話ではありませんが。)
ちなみに、世の中には「過去問なんか一回も解かずに受かったぜ!」と自慢げに語る人間も一定数いますが、小学校5年生から毎日3時間以上勉強し、順当合格した進学校出身者の意見はノイズでしかないので聞く必要がありません。前提が違いすぎるのです。
あなたたちはあくまでも「逆転合格組」だということをしっかり認識してください。
では、前置きはこれくらいにして、以下に過去問演習についての作法を列挙しておきます。
① まずは時間を計らないでじっくりと解く
「過去問はしっかり時間を計って本番をイメージして解きなさい。」
このようなアドバイスをする講師(非常に多い)のおかげで、多くの受験生は過去問演習を「力試しの場」だと思っていますが、決してそうではありません。過去問というのは、受験生にどういう思考プロセスで問題を解いてほしいのか、どのような知識を身につけてきてほしいのか、という大学側からのメッセージなのです。であるならばそれを分析し、研究することは志望校合格のために最も大切な過程であるはずです。なので、少なくとも1回目の過去問演習は時間無制限でじっくりと解いてください。極論、時間制限を設けるのは本当の試験直前期(本番2週間前くらい)で大丈夫です。時間配分の練習にはそれほど時間はかかりません。本番をイメージして解くことが重要ではないとは言いませんが、それは過去問をじっくりと分析し、自分に足りない知識を埋め、大学側が要求する問題を解く思考プロセスを身につけた後の話です。
② 徹底的に問題分析をする
時間無制限でじっくり問題を解いた後は、まずはどのような問題構成になっているのかを分析します。英語であれば長文と文法の比率はどの程度なのか、英作(和訳)はあるのか、空欄補充はあるのか、単語一致問題はどうか、NO ERROR問題はあるのか、あるとしたらどの程度細かいのか、また、その問題の出される順番は?これらすべてを科目毎に把握します。試験開始前にどのような問題がどのような順番で出題されるのかを頭に叩き込んでおくのです。この作業そのものがイメージトレーニングになります。
一方で、私大個別試験は頻繁に傾向変化が起こり得ます。しかし、その場合は全受験生が平等な立場になるだけであり、みなさんが不利になるわけではありません。したがって、傾向が変わらなかったら単純にラッキー、変わったとしても平常心で臨む覚悟を決めておきましょう。
④ 間違えた問題の種類を特定し、知識を補充する
過去問演習を行った後に解答・解説を熟読するのですが、その時に「ミスったわ」「へえ、そうなんだぁ」「そんなの知らねーし(笑)」などのリアクションを取っているならば、その時点で受験生失格です。まず、間違えた問題を大きくアウトプットの問題なのか、インプットの問題なのか分類する習慣を付けましょう。シンプルに言うと、「言われたらわかる」ものはアウトプットの問題で、「言われてもわからない」ものはインプットの問題です。そして、過去問演習で大きく点数を伸ばすコツはアウトプットの問題での失点をゼロにするという意識を強く持つことです。受験勉強の8割は壮大な丸暗記ですので、暗記しているはずのもので失点しては受験勉強の意味がなくなってしまいますし、もはやそんなものは勉強ですらありません。
ここはもう少し詳しく書いておきます。一般的に、進学校の生徒と非進学高の生徒には大きな違いが2つあります。基礎知識や一般常識、勉強習慣、地頭の良さという点での差もあることにはありますが、私立文系受験の合否という観点から見ればそれほど決定的な違いとは思えません。
それでは何が決定的に異なるかと言いますと、ひとつは上記アウトプットの問題に対する意識です。進学校生徒にとって知っている問題で失点するのはボンクラ以外の何物でもなく、特に意識するまでもなくこの部分での失点はゼロであるのが普通です。そして、この違いはボーダーラインを超える程度には十分に大きいのです。
もうひとつは、「当たり前」の基準値です。たとえば、進学校生徒にとっては上記のような失点がゼロであるのは「当たり前」ですし、知らなかった部分のインプットを即座に行うことも「当たり前」、この時期なら一日10時間を越える勉強も「当たり前」で、合格するために全力で勉強するのも「当たり前」です。これは個人の問題ではなく集団の問題です。周りの人間と協力して空気を作っていく必要があるため、家庭教師だとなかなか難しいのですが、少なくともこれから受験に向けては一人ひとりが意識的に「当たり前」の基準値を上げていってください。